「ピアノで好きな曲を弾きたいけど、楽譜がない…」
「YouTubeで耳コピしてる人って、一体どんな耳をしてるんだろう?」
そして、ふとこんな疑問が頭をよぎるのではないでしょうか。
「ピアノで耳コピできる人って、一体どのくらいの割合でいるんだろう?」
この記事では、その疑問に真正面からお答えします。
結論から言うと、その正確な割合を示す公的な統計データは、残念ながら存在しません。しかし、がっかりしないでください。この記事は「割合は分かりません」では終わりません。
なぜなら、「割合」を気にすること自体が、耳コピ習得からあなたを遠ざけている最大の誤解かもしれないからです。
この記事では、「耳コピは才能か?」という長年の論争に終止符を打ち、耳コピが「才能」ではなく、正しい手順で学べば誰でも習得できる「技術」であるという事実を、科学的にお伝えします。
読み終える頃には、「自分には無理かも」という不安が、「自分にもできる!」という確信に変わっているはずです。
なぜ「耳コピできる人の割合」の正確なデータは存在しないのか?
まず、あなたの最初の疑問にお答えします。なぜ、耳コピできる人の割合を示す明確なデータがないのでしょうか。
それは、耳コピが一つの能力ではなく、グラデーションのある広大なスキルセットだからです。
「きらきら星」のメロディなら、鼻歌交じりにピアノで探せる、という人はかなりの割合で存在するでしょう。これも立派な耳コピの第一歩です。
J-POPのメロディラインを片手で弾ける、という人もいるでしょう。
一方で、複雑なジャズの和音やオーケストラの各楽器の音まで聴き分けられる人は、ごく少数になります。
このように、「どこからを『耳コピができる』と定義するか」が非常に曖昧なため、統計を取ることが不可能なのです。「割合」の数字を探すことは、残念ながらあまり意味がありません。
大切なのは、「0か100か」で考えるのをやめることです。そして、今のあなたのレベルから、どうすれば一つ上のレベルへ進めるのか、その具体的な方法を知ることです。
耳コピの正体は「絶対音感」ではなく、鍛えられる「相対音感」という技術
「割合が不明なのは分かった。でも、結局は才能、特に絶対音感がないと上級レベルには行けないんでしょ?」
その考えこそが、あなたの可能性に蓋をしている最大の誤解です。
耳コピを可能にするのは、生まれつきの絶対音感ではなく、トレーニングによって誰もが後天的に鍛えることができる相対音感という技術です。
この二つの能力は、役割が全く異なります。
- 絶対音感とは、聴いた音の高さを直接「ドレミ」で言い当てられる能力です。例えるなら「音の高さが分かる絶対的なものさし」です。
- 相対音感とは、基準となる音から、次の音がどれだけ離れているかを判断する能力です。例えるなら「音と音の距離を正確に測れるコンパス」です。
耳コピとは、突き詰めれば「メロディの音の動き(=音と音の距離)を聴き取る作業」です。つまり、「ものさし」がなくても、「コンパス」さえあれば、曲の地図を描くことは十分に可能なのです。

【挫折率0%へ】凡人が「耳コピできる人」の仲間入りをするための3ステップ
「割合」を気にする必要がないこと、そして「相対音感」が鍵であることはご理解いただけたと思います。
ここからは、あなたが「耳コピできる人」の割合の中に、今日から仲間入りするための具体的なステップをご紹介します。
いきなり好きな曲の和音(コード)まで全てコピーしようとしないでください。まずはメロディの単音を、それもごく簡単な曲から始めることが、挫折しないための絶対条件です。
なぜなら、多くの人は情報量の多さに圧倒されて挫折します。絶対音感のコンプレックスを克服するには、複雑な音楽を「メロディ」「ベース」「和音」というシンプルな要素に分解して聴く訓練から始めるとよいです。この考え方が、あなたのイヤートレーニングの成功を左右します。
Step1:聴くのではなく「歌う」
まず、ピアノに触る前に、耳コピしたい曲のメロディを正確に「ドレミ」や「ラララ」で歌えるようになるまで、何度も聴き込んでください。音をアウトプットしようとすることで、脳はより深く音をインプットしようとします。これが全ての土台です。
Step2:「きらきら星」の最初の音を探す
次に、誰もが知っている「きらきら星」を題材にします。ピアノの真ん中の「ド」を弾き、これを「きー」の音だと仮定します。そして、頭の中で次の「らー」の音を鳴らし、その音が先ほどの「ド」より高いか低いかを判断します。そして、鍵盤を一つずつ弾いて、頭の中の音と一致する音を探します。この「音程を予測し、答え合わせをする」作業こそが、相対音感を鍛えるイヤートレーニングの核心です。
Step3:曲の「ベース音」だけを追いかける
簡単なメロディに慣れたら、次は曲の土台を支えている一番低い音(ベース音)だけに集中して聴いてみましょう。多くの場合、ベース音は「ドーン、ドーン」とゆっくり動いています。この一番下の音の流れを拾う練習をすることで、曲全体の構造を立体的に捉える力が養われます。
まとめ:「割合」を気にする側から、「できる人」へ
ピアノで耳コピできる人の割合は、今日この瞬間から、あなたにとって気にする必要のない数字になりました。
なぜなら、耳コピは限られた才能を持つ人だけのものではなく、正しい方法で相対音感を鍛えれば、誰の耳にも宿る技術だからです。
「自分には無理」と諦める必要は、もうどこにもありません。あなたの耳は、正しいトレーニングによって目覚めるのを待っています。好きな曲を、楽譜なしで自分の手で奏でる喜びを、ぜひ体験してください。
さあ、まずは騙されたと思って「きらきら星」のメロディを口ずさみ、最初の音を探すことから始めてみませんか?それが、あなたが「できる人」の割合に加わる、確実な第一歩です。