お子さんがピアノの練習を嫌がるようになって、周りの子の進度が気になり、「うちの子だけ…?」と不安になっていませんか?
ご安心ください。その悩みは、お子さんが順調に成長している証です。
この記事では、単なるレベル診断で終わらず、ピアノ歴2年で訪れる「中級の壁」の正体と、お子さんのやる気スイッチをONにするための具体的な関わり方を解説します。
読み終える頃には、他人との比較から解放され、お子さんの成長を信じて、明日からの練習時間を親子で楽しむヒントが見つかります。
なぜ? ピアノ歴2年で多くの子が「練習嫌い」になる理由

ピアノ教室の面談で、保護者の方から最もよく受ける質問があると言います。それは、「先生、うちの子、才能ないんでしょうか?」という言葉です。
「ピアノを2年も続けているのに、なんだか楽しそうじゃない…」そんな風に感じておられる親御さんが多いようです。大丈夫、焦らなくていいんですよ。お子さんにピアノの才能がないわけでは決してありません。その「練習嫌い」は、多くの子どもたちがピアノ歴2年前後で経験する、ごく自然な現象なのです。
考えてみてください。ピアノを始めた最初の1年間は、新しい音を出すこと自体が楽しく、先生に言われた通りに指を動かせば「じょうずにひけたね!」と褒めてもらえました。楽譜通りに弾くだけで、たくさんの花丸がもらえた時期です。
しかし、2年目になると状況は少し変わります。ただ音を並べるだけでなく、曲に込められた気持ちを表現することが求められ始めます。お子さん自身も、頭の中では素敵な演奏をイメージしているのに、指が思うように動かないもどかしさを感じ始めるのです。このギャップこそが、練習への抵抗感を生む最初の原因となります。
その悩み、成長の証です。ピアノ2年目の「中級の壁」の正体とは

お子さんが感じているそのもどかしさ、私はそれを「中級の壁」と呼んでいます。これは、ピアノの学習が順調に進んでいるからこそ訪れる、大切な成長の証なのです。
この「中級の壁」は、多くの場合、「ブルグミュラー25の練習曲」のような表現力が求められる教則本で顕在化します。 それまでの「バイエル」といった教則本が指の体操だとしたら、「ブルグミュラー」は音楽で物語を語る練習の第一歩です。例えば、有名な『アラベスク』という曲。この曲をただの音符の羅列として弾くのと、軽やかに舞う蝶の姿を思い浮かべながら弾くのとでは、全く違う音楽になります。
この「指の技術」と「心の成長」の両方が求められるようになるのが、ピアノ歴2年目という時期です。だからこそ、今までのようにすんなりとは進まないのです。お子さんは今、ピアニストとしての新しい扉を開けようと、一生懸命に背伸びをしている最中なのです。
親の関わり方が9割!子どものやる気を引き出す5つのスイッチ

「中級の壁」にぶつかると、練習してもすぐには上達しないため、お子さんのモチベーションが低下しやすくなります。ここで重要になるのが、ご家庭でのサポートです。実は、適切な親の関わり方こそが、低下したモチベーションを回復させる最も有効な手段なのです。
「練習しなさい」という言葉を、今日から封印してみましょう。
なぜなら、この言葉は「ピアノ=やらされること」というネガティブなイメージを、お子さんの心に植え付けてしまうからです。子どもが自らピアノに向かう瞬間は「楽しい」と感じた時だけだなのです。
では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。明日からすぐに試せる、お子様のやる気を引き出す5つのスイッチをご紹介します。
| スイッチ | 具体的なアクション | 期待できる効果 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| ① 聴き役スイッチ | 「今日の練習、聴かせてくれる?」と声をかけ、演奏が終わったら「素敵な音だね!」と具体的に褒める。スマートフォンの録音機能で演奏を記録し、一緒に聴き返すのもおすすめです。 | 親が自分の演奏に関心を持ってくれていると感じ、認められる喜び(承認欲求)が満たされる。 | ★☆☆ |
| ② 目標設定スイッチ | 「次の発表会で、あのアニメの曲を弾いてみない?」など、少し先の楽しい目標を親子で一緒に設定する。YouTubeなどで憧れの曲を探す時間も大切にしましょう。 | 漠然とした練習から、ゴールのある練習に変わる。発表会で一曲を弾き切る成功体験は、子どもの自己肯定感を大きく育みます。 | ★★☆ |
| ③ ゲーム化スイッチ | 「この4小節、3回間違えずに弾けたらシールを1枚貼ろう!」など、練習の一部をゲームに変える。カレンダーにシールを貼っていくと、努力が可視化されて達成感に繋がります。 | 練習のハードルが下がり、小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感が高まる。 | ★☆☆ |
| ④ 環境設定スイッチ | 楽譜やメトロノームをピアノの譜面台に常に開いておく。リビングなど、家族のいる場所に電子ピアノを置くのも効果的です。 | ピアノに触れるまでの物理的・心理的な障壁を取り除き、練習の習慣化を助ける。 | ★★☆ |
| ⑤ 連弾スイッチ | 簡単な曲で良いので、親子で連弾をしてみる。お母様がメロディーを弾き、お子様が伴奏をするなど、役割分担をすると新鮮です。 | 一人で弾く孤独な練習から、誰かと音楽を創る喜びに変わる。音楽の楽しさを再発見するきっかけになる。 | ★★★ |
よくあるご質問(FAQ)
Q1.教則本はどれくらいで終わらせるべき?
A.教則本の進度に「正解」はありません。お子さん一人ひとりのペースが、その子にとっての正解です。例えば「ブルグミュラー」を1年で終える子もいれば、2年かけてじっくり取り組む子もいます。大切なのは、一冊を早く終わらせることではなく、一曲一曲から何を学んだかです。
Q2.先生に「家で練習しない」と相談してもいいの?
A.ぜひ相談してください。ピアノの先生は、技術を教えるだけでなく、お子さんの成長を共に見守るパートナーです。ご家庭での様子を共有していただくことで、先生もレッスン内容を工夫したり、お子さんに合った声かけのヒントをくれたりするはずです。
Q3.練習時間はどれくらいが適切?
A.「毎日30分」のように時間で区切るよりも、「今日はこの2段を完璧にする」のように、短い時間で達成できる具体的な目標を設定する方が効果的です。特に「中級の壁」にいる時期は、ダラダラと長時間練習するよりも、5分でも10分でも集中してピアノに触れる習慣を続けることが大切です。
まとめ:お子さんの「好き」を信じることから始めよう

お子さんのピアノの「停滞」は、決して後退ではなく、次なるステップへ進むための大切な「成長」のサインです。周りの子の進度と比べる必要は全くありません。
お母さんが笑顔で「あなたのピアノ、素敵ね」と聴いてくれること、それこそがお子さんにとって最高の応援になります。
まずは今晩、お子さんと一緒に好きな曲をYouTubeで聴いてみませんか?そして「この曲、いつか弾けたら素敵だね」と、未来の楽しい話から始めてみてください。その小さな一歩が、お子さんのピアノの世界を再び輝かせる、何よりのきっかけになるはずです。